司法書士・行政書士 多賀事務所

お客様の望む法的サービスを幅広く実現します

TEL077-532-6722

土日祝を除く 8:30~19:00(事前にご連絡頂けば、休日も対応します。)

法定相続情報一覧図の申出の謎~添付する戸籍除籍謄本等について~③

 前々回前回の続きで今回が最後です。

 登記官には不動産登記規則に書いてあるからと言われたので、六法を開いてみると該当条文には次のように記載がありました。

「被相続人(代襲相続がある場合には、被代襲者を含む。)の出生時からの戸籍及び除かれた戸籍又は全部事項証明書」(同規則第247条3項2号)

(書籍(新日本法規 日司連編 ケース別法定相続情報証明制度書類作成のポイント―法定相続情報一覧図・申出書―p7)も参照したから、これが該当条文のはず・・・。)

 条文だけ眺めると、兄弟相続の場合で、被相続人や被代襲者以外に亡くなった人(つまり、被相続人の父母)はそもそも出生まで遡る必要すら無い様にも読めてしまいますが、そこは行間を読んで、相続人を確定するためにはもちろん父母の出生から死亡時までの戸除籍謄本又は全部事項証明書を添付しないといけません。

 問題は前々回に示した平成28年の通達が本制度にも適用があるのかどうかです。
 そして法務局の答えは「ノー。但し、相続登記と連件ならOK。」

 なので、上記参考書籍には、同通達の適用があるとありますが、修正の余地がありそうです(令和1年10月18日初版発行なのに・・・。)。
 もちろん、私はこの書籍の記載を参考にして今回申出を行いました。(父親の廃棄証明書を取っていなかったのは直接的には私のせいでなく、タッグを組んでいた別の資格者が役所にいりませんって言っちゃったからですよ!!まあその時私も大丈夫でしょと言いましたけどね(笑)。)

 でも、別にこの書籍は何も間違ったことは言ってないと思うんです。法務局は規則を根拠に同通達の適用を否定しましたが、同行間を凝視したって、そんな風には読めません(ついでに言うと、兄弟相続なら父母の出生から死亡の戸除籍が必要と書いといてほしい。)。

 更には、相続登記と連件なら通しますというのも得心がいきません。まあなんぼゆうても仕方ないですけども。

 他にも制度開始当初(というより規則制定段階)からおかしいといわれていたこととしては、例えば、司法書士法人が代理人として申出をする場合には、司法書士法人の代表者を証する資格証明書の添付が必要となり、会社法人等番号の提供によってその添付を省略できないことがあります(同規則同項7号)。

 また、個人的によく分からないこととして、申出人の本人確認証明書(同規則6号)の原本還付請求の仕方が、相続登記と連件なら、代理人が請求できるのに対し、法定相続情報の申出のみするなら、申出を代理する場合であっても必ず申出人が原本還付請求(具体的には、申出人が原本に相違ない旨を記載し、署名又は記名押印が必要。)をしないといけないということです。
 これも、相続登記と連件ならOKシリーズの一つですね。

 色々と奥が深い(謎が多い)制度ですが、うまく利用すればすごく便利な制度であるということに気づきます。もっと勉強して使いこなせるようになっていきたいと思います。

終わり

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA