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配偶者居住権②

前回の続きです。今回は、配偶者居住権の登記手続きについて。

まず、配偶者居住権の設定の登記の申請は、不動産登記申請の原則通り、共同申請の形態をとります。
すなわち、配偶者居住権を取得した配偶者を登記権利者とし、居住建物の所有者を登記義務者とします。

また、このことから、設定登記の前提として、被相続人が所有権の登記名義人である建物について、相続や遺贈を原因とする所有権移転の登記がされている必要があります。

配偶者居住権設定登記の申請情報等は以下のようになります。

登記の目的配偶者居住権設定
原因「年月日遺産分割」or「年月日遺贈」or「年月日死因贈与」
存続期間【定めがない場合】
「存続期間 配偶者居住権者の死亡時まで(又は年月日から配偶者居住権者の死亡時まで)」
【定めがある場合】
「存続期間 年月日から何年(又は年月日から年月日まで)又は配偶者居住権者の死亡時までのうち、いずれか短い期間」
特約【第三者に居住建物の使用又は収益をさせることを許す旨の定めがある場合】
「第三者に居住建物の使用又は収益をさせることができる」
※定めがない場合には登記事項になりません。
権利者配偶者
義務者居住建物の所有者
添付情報登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書(義務者分)
代理権限証明情報(代理人による申請の場合)
登録免許税率1000分の2(登録免許税法別表第一第一号(3の2))

次に、配偶者居住権抹消登記の申請情報等は次のようになります。
注意すべき点としては、配偶者居住権は配偶者の死亡により消滅した場合、居住建物の所有者の単独申請によるということです。

登記の目的何番配偶者居住権抹消
原因【配偶者の死亡による場合】「年月日死亡による消滅」
【存続期間の満了による場合】「年月日存続期間満了」
【合意消滅による場合】「年月日合意消滅」
【消滅請求による場合】「年月日消滅請求」
※建物の全部滅失による場合は、建物の滅失登記によるものと思われます。
権利者居住建物の所有者
義務者配偶者(配偶者死亡の場合は、登記権利者の単独申請による(不登法第69条))
添付情報登記原因証明情報 登記識別情報(共同申請の場合) 印鑑証明書(共同申請の場合の義務者分)
代理権限証明情報(代理人による申請の場合)
登録免許税不動産1個につき、1,000円

ネットや書籍などで配偶者居住権の登記申請手続きについての記載がありますが、改正法が施行される前に書かれたものの多くは、他の権利に関する登記の申請方法などを参考におそらくこういう申請になるだろうという想定で書かれたものであるため、細かいところに修正が必要であり、要注意です。
私は、直近の法務省民事局通達(下記参考文献を参照)を参考にしています。

最後に、登記の実行のあり方(どのように登記事項証明書に載るか)について、登記記録例を載せておきます。
配偶者居住権の法的性質は、賃借権類似の法定債権と考えられていますので、登記は乙区に記載されます。

配偶者居住権に関する登記(PDF形式)

終わり

参考文献(前回あげたもの以外):令和2年3月30日付法務省民二第324号通達

追記(令和2年8月4日)

法務局のHPに申請書の記載例がアップされています。

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/minji79.html

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