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遺言まちがい探しクイズの解説

以前、当ブログにアップしました、日本司法書士会連合会が企画していた「遺言まちがい探しクイズ」の解説をしてみたいと思います。

以前アップしたブログの記事はこちら。

問題文は、上の遺言書の文言の中で、どれが無効となる文言でしょう?というもの。

選択肢①「同居していた長女 司法花子に自宅をあげます。」
→解説:自分の財産を承継させたい相手は「長女 司法花子」と特定されていますので、この点は問題ないでしょう。
しかし、「自宅」というのは具体的にどの不動産を指すのか(自分が住所を置いていた建物なの?それとも、住所は置いていないけど生活していた居所を指すの?土地は?それ以外に不動産持っているけど?など)不明確であるため、無効とまでは言えませんが、文言としては不適切です(場合によっては相続人間でトラブルが生じてしまいます。)。
また、「あげます」という表現も、遺言の効力発生後の遺言執行手続きのことを考えると、避けるべきと考えられます。この場合、相続人にあげたいなら「相続させる」、相続人以外にあげたいなら「遺贈する」と文言を使い分けるのがベストです。

選択肢②「長男 司法一郎には、それ以外の財産を全てあげます。」
→解説:これも選択肢①と同様のことが言えます。
すなわち、「長男 司法一郎」に財産を承継させたいという点は分かりますが、「それ以外の財産」とはどの財産を指すのか不明確であるという点と「あげます」という文言が不適切であるという点です。

選択肢③「そこから、お墓や供養にかかるお金を払ってください。」
→解説:遺言で決められる事項は、法律で定められており、これを遺言事項と言ったりします。遺言事項以外の事項を遺言で意思表示しても、法律上の効果はありません。しかし、遺言自体が無効になるわけではないので、その文言に従うかどうかは相続人の裁量です。
今回の文言も遺言事項には該当しないため、実際にお金をどう使うかは相続人の判断になります。

選択肢④「あと、お願いですが延命治療は行わないでください。」
→解説:これも選択肢③と同じく、遺言事項には該当しないため、相続人の裁量にゆだねられます。もっとも、通常、遺言書の内容は、遺言者が亡くなって初めて相続人が確認するものですから、その時に「延命治療は行わないでください」ということを知っても、時すでに遅しかもしれません。この場合、相続人には事前に伝えておきましょう。

選択肢⑤「令和2年8月吉日」
→解説:自筆証書遺言の作成の方式は、民法上に規定があり、その一つに、作成年月日を記載するというものがあります(民法第968条1項)。
これは、遺言書を作成した時における遺言者の遺言能力の有無や内容の抵触する複数の遺言の前後を特定するために必要であると考えられているからです。
ここで、日付を「吉日」とするのはどうなるのでしょうか。
これについては、最高裁の判例があり、無効であるとされています(最判昭54年5月31日民集33巻4号445頁)。
したがって、選択肢⑤のように日付を書いてしまうと、この遺言書全体が無効になってしまいますので気を付けましょう。
ちなみに、必ずしも特定の年月日を記載する必要はないとされており、例えば「還暦を迎える日」とか「満○○歳の誕生日」などのように作成日付が特定できるならば差し支えないとされています。しかし、せっかく書いた遺言なのですから、危ない橋を渡るのではなく、素直に作成年月日を記載するのがベストです(年月だけ書いて、日が抜けているのも無効です。)。

選択肢⑥「父 司法太郎㊞ 母 司法陽子㊞」
→解説:二人仲良く一枚の紙に遺言書を書くことを共同遺言と言いますが、民法はこれを禁止しています(民法第975条。別に仲良くなくてもダメです。二人以上が同じ紙に書くのがダメです。)。
したがって、共同遺言をしてしまうと、遺言書全体が無効になります。

選択肢以外「あなた達のおかげで、夫婦仲良く過ごすことができました。幸せな人生だったと思います。」
→解説:選択肢③や④と同じく、このような文言も遺言事項には該当しません。これらは法的効果を伴わないことを明確にするため、「付言」として遺言書の末尾に記載するのが普通です。

以上で解説は終わりです。遺言書まちがい探しクイズはいかがだったでしょうか。せっかく書いた遺言書が無効とはならないように、また、自分の死後に遺言書の内容で揉めないように明確な文言を用いて作成することを心がけましょう。

なお、このクイズの正解は発表されていないようなので、私からの明言は避けさせていただきます。

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