なぜ、私が継母の相続人に!?
当ホームページの「事務所概要」にも載せていますが、私は、(一社)滋賀県公共嘱託登記司法書士協会という団体に所属し、現在は長期相続登記等未了土地解消作業に従事しています。
この作業は、要するに、長年相続登記がされていない土地について、相続人を戸籍等の調査によって特定するもので、法務局からの嘱託によって受任しています。
私は今年度は10件担当する予定となっていますが、その内の1件に興味深い相続関係があったのでご紹介します。
事例を簡略化すると、被相続人Aさん(女性)には、死亡当時、子供がおらず、相続人は配偶者Bさんと実の母親Cさんだけでした。
この時であれば、そんなに相続関係は複雑ではなかったのですが、相続登記がされずに時がたち、Bさんが亡くなりました。
これによって、Aさんの相続人であるBさんの地位は、Bさんの相続人に引き継がれていきます。
そこで、Bさんの出生から死亡までの一連の戸除籍謄本を調査していくと、なんとBさんはAさんと結婚する前に2回の結婚と離婚を繰り返しており、それぞれに子供をもうけていました(ここでは、D、E、F、Gの合計4人とします。)。
したがって、D、E、F、Gは、継母であるAさんの相続人となってしまいました。
ちなみに長期相続登記等未了土地解消作業が完了したら、法務局から任意の相続人1人に対して相続登記を促す旨の通知がされるのですが、もしもこのD~Gの1人にされるのだとすれば、寝耳に水ですね。もちろん、法務局もその辺は考慮して通知するのでしょうが、仮に通知が来たから動こうと思っても、現時点での法律では相続登記をするのは難しいように思われます。
また、上記の事例とは異なりますが、死ぬ順番によっては離婚した元妻に相続権がいってしまう事例も思いついてしまいました。
例えば、被相続人X、元妻Y、XYの子Zがそれぞれいるとして、Zは生涯独身だった場合に、亡くなった順番が①X、②Z、③Yだとすると、Xの最終的な相続人はYになります(既に離婚しているのに!?)。
今までは離婚した奥さんは相続人にはならないという先入観で戸籍を見ていましたが、そんな事例もありうるのだから、気をつけねばと自分を戒めた次第でした。一つ一つじっくりと作業を進めていきたいと思います。
また、人はいずれ亡くなるものですが、その順番は決めることができません。亡くなった方を責めるべきではありませんが、残された相続人の負担を考えるのであれば、何らかの方策を生前に考えておくべきでしょう。
とはいえ、今回のように、自分が相続人の立場であることを知らないような場合には、どうしようもない気がしますが・・・。