相続人不存在を原因とする登記名義人の氏名更正!?
めちゃめちゃ久しぶりに業務に関しての記事です。
本当は、もっと他にも書きたいネタがあるのですが、どうも筆が進まない・・・(汗)。
今回は、相続人が不存在となり、相続財産管理人が選任され、被相続人の財産(不動産)が相続財産法人となった(民法第951条)ため、所有権の登記名義人の氏名を「亡○○相続財産」にする登記申請手続きの依頼を受けました。
通常ですと、この場合、被相続人名義から相続財産名義に移転してしまうのではなく、変更されたという意味で「変更登記」の申請が必要となります(昭和10年1月14日民甲第39号民事局長通達第1項)。
しかし、今回の事例では、被相続人は、死亡日(←これが相続人不存在の原因日付になります。)よりも後の日付で法定相続により名義を取得していたため、当該相続登記がなされた時には、既に相続人不存在であった(ようにも)見えます。
そうだとすると、日付的には最初から相続財産法人なわけですから、原始的な不一致がある(?)ということで、所有権登記名義人の「更正登記」が必要になりそうです。
ちなみに、相続登記は法定相続で登記を申請する場合には、民法第252条但し書のいわゆる保存行為に当たると解されていますので、相続人の一人からでも申請できます。
また、相続登記を申請した時点で、相続人の一人が既に死亡していたとしても、その死亡した相続人名義で登記を申請することはできます(いわゆる死者名義の登記です。)。
ここまでの書き方からも察せられると思いますが、結論から申し上げますと、この場合でも「変更登記」申請します。
理由としてはいろいろ考えられますが、少なくとも今回の場合、上記相続登記申請がなされた時点では、まだ相続財産管理人は選任されていなかったので、「亡○○相続財産」という名義にしようがありませんし、実体上も、まず先代の相続が開始して、相続人になり、その後、当該相続人が死んでみたら、当該相続人には相続人がいませんでしたー(実際には、相続人が全員相続放棄しちゃって相続人がいなくなりましたーですけど。)、という流れなので、登記に落とし込むなら、相続登記の後、相続人不存在を原因として氏名変更登記を申請するとなります。
ちなみに、更正登記とは、実体上の関係と登記とが錯誤又は遺漏によって登記の当初から不一致の場合に、これを実体関係と一致させる目的でなされる登記です。
他に理由を考えるとすれば、そんな(今回のような事例の場合に「更正登記」を申請するという)登記記録例や登記先例はないからというのも考えられますかね。(仮に更正登記だったら、原因は錯誤でいいのだろうか??)
今回は私も登記記録を見たときに、一瞬、「これって死んでから登記名義人になってる?」「あれ?じゃあ更正登記なの?(そんな珍しいのあるの?ワクワク)(笑)」とか思っちゃいましたけど、でもよくよく考えたら「やっぱ変更だよねー」ということで、変更登記で申請しました。
ところが、登記申請して添付書類を法務局にもっていき、わずかその10分後、法務局から電話がかかってきました・・・。
法務局の人「さっき申請してくれて書類持ってきてくれたやつ、これ、更正登記だよね?」
私「はい?」
法務局の方の言うことは大体すんなり聞いてしまう私でも、思わず、「何ゆうてんねん」と言いそうになりつつ、他方で、「うそー、まじかー、やってもうたかあー」と思ってドキドキしていました。
とりあえずその場は、「じゃあ仮に今回、先代の名義のままだった場合にはいきなり相続財産法人名義になるんですか?ならないでしょ?」といって反論しましたが、するとその方からはこんな一言が。
法務局の人「いや、そんなに詳しくは見てへんねんけどね。パッと回ってきた書類と登記簿見てて思ったから。」
今度は、「はぁぁっ??」と言いそうになりました。つまり何かい、一瞬だけ見て感覚だけで電話してきよったんか!!ビックリさせんといてくれ!!
今回はそんな、法務局が添付書類を持って行ってすぐに補正(のような?あるいは取下の観試?(笑))の電話をしてくるなんて珍しいなあという事案の説明でした。
ということで、無事に変更登記で片が付きましたとさ、ちゃんちゃん。